プロローグ

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あの日から俺は変わった。 唐突に言われる一言だ。 確かに変わったと自分でも思う。 あんなに好きだったサッカーを、一瞬で取り上げられたかのような喪失感が俺を襲ったからだ。 事の始まりは、インターハイの地区予選一ヶ月前の練習試合。 当時高校三年で、チームの中心となっていた俺を襲ったのは、相手チームの容赦ない反則スレスレのプレー。 無理もない。 元々からライバル関係にあった学校と当たったのだから。 もちろんウチとの練習試合なのだからお互い一軍の投入。 しかし、相手はディフェンダーやキーパーといった守備の選手はレギュラーだったのだが、中盤から前線にかけては控えを投入してきた。 最初は何か新しい戦術でも思いついたのかと思ったが、すぐに違うと気づいた。 俺へのマンツーマンはわかる。 だが俺がボールを持つ度に、マーカーが反則スレスレのタックルをかけてくる。 今思えば笑える話だが、連中はチームの中心となっている俺を完璧に潰せば、ラインがガタガタになると思ったらしい。 しかし、あまりにも俺がしぶといからか、ついにファールがとられた。 マーカーが俺をこかせた上に、倒れ込む寸前に膝を砕いてくれやがったのだ。
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