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少女は孤独だった。
あの時から、ずっとずっとひとりぼっちだった。
少女は震えるその手で、包丁を握りしめている。
そして、ぽつりと呟いた。
「……わたしがいるから……みぃんな、いなくなっちゃうのかな……」
少女の足下には、小さな水溜まりが出来ていく。
少女の哀しみが込められた、小さな小さな湖。
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
少女は泣きながら、居もしない誰かに向けて謝り続ける。
少女は分かっていた。
自分がどんなに涙を流しても、誰も自分のもとへは来てくれないという事を。
少女の事を「愛してる」と言って抱き締めてくれた彼は、もう居ないという事も。
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