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「一緒に入る?
風呂」
「……」
2人掛けのソファーに腰掛けている私が、彼の言動に戸惑ったのも無理はない。
自分の足元から、窺うように目線を上げれば、不敵に笑った彼が瞳に映った。
「……いい、遠慮しときます」
「ふぅん、残念。
なら先入る?」
「残念って、……とにかく後でいい」
「わかった」
彼はそう一言残し、スタスタとスリッパの音を立たせ、部屋の一角にあるバスルームに向かっていく。
ポツン、と1人残った私は、ただ辺りを見回すだけだった。
私達が今居るここは、広めの個室。
アンティーク調の置物があったり、ソファーの横にはこの場所に無くてはならない、キングサイズのベッドもある。
この部屋の物は大体、ブラウンが多い。
他にも、設備されているやたらとデカい液晶テレビ。
昂希君にまさかシティホテルへ連れてこられるとは、あの時は思いもしなかった。
あの状況でなら予想もできたはずなのに。
気づきもしないなんて、どれほど鈍い頭の持ち主なんだ、私ってば……。
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