壊して。

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  「ちょっと待ってっ」 「なんで?」 私を後ろから抱き締めるように腕を回してきた彼が、音を立てて首筋にキスをしてくる。 心地よい快感で一瞬仰け反った私は一呼吸してから、彼を見た。 「ベッドじゃないよ? ここ……」 「知ってる」 「ちょ、やだっ。 待ってってば」 彼の手が服の中に滑り込んできて、すぐさま声を上げたら、手は止まってくれた。 待ったを掛けているのは、決して触れられるのが嫌だからなんかじゃ無い。 ここは洗面所で、鏡が目の前にある。 当然そこに彼と私が映っていて、鏡に映る自分の姿に羞恥を覚えたから。 「……ね、お願い。 ベッドいこ?」 「ダメ。 行く時間が勿体ない。 ……し、もう我慢できねぇの」 私の願い届かず、再び手が動き出した。  
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