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「それよりも・・・」
何か勘付いたらしい有明は、やつれた国見を見てニヤリと笑った。
「昨日言ってたことは本当みたいだったな、国見」
「・・・・・・・・・チッ」
国見は有明の不敵な笑みに悔しそうに舌打ちをした。
「え?昨日何か言ってましたっけ?」
瑞穂が聞いても有明も国見も答えてくれない。
加津佐はやっぱり一人だけ、何かいいことがあったかのようにすごく元気だ。
「・・・そういうわけだから今日帰りは運転できそうにないわ。
有明頼んだわよ」
「国見さん大丈夫ですか・・・?
もしかして眠れなかったんですか?」
「へえ、一睡もできなかったんだ。ハードだな」
「・・・・・・」
有明のこんな黒くて満足そうな笑いも珍しいが、国見のこんなに悔しそうな姿も見たことがない。
相変わらず加津佐はいつも以上に元気そうに、そして幸せそうに鼻歌を歌っていた。
end.
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