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「ホラ、名乗りなさいよ。ユウナ」
「キャハ、やっぱやんなきゃか!」
茶髪の女の子は運転席から、澪の方を見てきた。
「私、本名は名乗らないことにしてるからねっ。ユウナって呼んで!」
「は……はぁ」
なんだか、変な人達だと澪は思った。
けど……
「俺、軍隊に入りたいんです。夜桜で試験を受けようとして……」
「試験?アララ、不運なコね」
澪の言葉に、サシャがクスッと笑った。
「……不運?」
「そうよ、だって今回の試験は地獄よ。担当がラルだもの」
「えっ、そうなんですか?」
ラルの方を見ると、やはり笑っている。
よく見ると歳は……二十歳かそれ位に見える。
そんな事を考えていると、不意にラルが顔を近付けてきた。
「私はね、君に興味があるんだ。……あのサイズの巨人相手に、あれだけ冷静な判断が出来るのも珍しい。君だけだろう、この輸送車に乗り込むと言ったのは」
確かに、あの中で冷静な判断をしたのは澪だけだった。巨人がいたから、それに健太も俺に着いて来たようなもんだ。
だけど、そが目を付けられる程のことだろうか。
「それに……」
「それに?」
「フーフ、いやなんでもない。君の名は?」
「えっ、あ、澪です。徒神 澪」
ラルは俺から離れて、深く座り込んだ。
「……で、こいつは俺の妹で。深雪っていいます。で、この馬鹿そうな奴は馬鹿っていいます」
「健太です!!」
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