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順番は、くじで決められた。
クロヤマ、壱花、助手、夏弥ーーそして探偵。
クロヤマは目の前のケーキにそわそわし、早く撃ちたそうだ。
壱花はこれ手作りだよね?と夏弥に尋ね、夏弥は頷く。
「実はオレ、5〜10歳くらいまでパティシエ目指してたんだ。でも世界1にはなれないと実力を悟って、諦めたんだ」
「どんだけ精神年齢高い5歳児だよ」
「とはいえこのケーキのデザインからする実力はなかなかのものだニャ…」
クロヤマは顎に手を当てた。
いつものようにココアシガレットを加えようとする助手の手からそれを奪い取り、夏弥は皿の上に置いた。
「オレのケーキを前にしてそんなもの食べるなんて許さないよ♪」
「チッ……」
助手は諦めて腕組みした。
パチン、と音がした。
みるとすでにクロヤマがこめかみにクリスマスガンを発射していた。
「ーーやった!空砲ですニャ!」
「はっや。ロシアンルーレットの雰囲気ゼロ」
「いただきまーすニャ!」
「ちょっと待った、ケーキ食べるのはゲームが終わってからさ」
「ぇえええーですニャ!ショボ…」
クロヤマは明らかにがっかりとし、壱花になだめられた。
「じゃあ次は私ね。ふう…」
壱花はモデルガンとはいえ本物そっくりの重い感触に、少し息を整えた。
ヒヤヒヤと見守る探偵をよそに、壱花も発砲した。
「ーー空砲だわ。よしっ、ケーキ確保。夏弥くん、私このチョコ乗ってるとこのやつね」
「OKだよ、お嬢様」
「ああー、いいですニャ。じゃあクロヤマはこの美味しそうなイチゴのとこだニャ」
夏弥は笑ってケーキをそれぞれの皿に取り分けた。
「次は自分ですか」
助手はモデルガンを手に取って眺める。
「さよなら助手1号、短い間だったけど楽しくはなかったけど世話になったな」
「ええ、自分はさっさと帰るので。ーーでは」
ごくりと全員が生唾を飲み込む中、助手も撃った。
「空砲…ですね」
「オッケー。助手君はどのケーキが良い?」
「自分はあまり食べる気ないのですが…よそもんの作ったものって怪しいですし」
「あはは、傷つくなあ。じゃ、この花の飾りが乗ったとこにしてあげるよ」
気の進まない助手の皿にも夏弥はケーキを取り分けた。
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