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『絶対に――のこと忘れない。賭けてもいいよ』
目に涙を溜めながら彼女は言った。
『賭けてもいい、って言うのは――』
そんな彼女に続くように、男もそう言った。
『本当に自信のあるときにしか使っちゃいけない』
彼女は笑う。
『俺も忘れないよ。賭けてもいい』
男も笑った。
――――――
段は目を覚ました。
机には、ところ狭しと散らかる終わりの見えない受験対策のプリントや参考書、赤い本。
ボーッ、とベッドの上でしていると、下から妹の声がした。
段は頭をポリポリと掻くと、しわくちゃになったベッドを軽く直す。
「なんか、懐かしい夢を見たな」
ボソリと呟いた。
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