『Ⅰ.プロローグ』

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『怪盗』と呼ばれる一個人ないしは組織・団体が通称俗称の域を越えて世間に認知されてから、既に数世紀が経過しようとしている。 規模の大小や公式・非公式、あるいは合法・非合法の別なく、世間には多種多様な集合体が存在している。 広義の意では国家・政府も集合体には違いないわけだが、細分化してゆけば、各種カルテルや組合、秘密結社や情報諜報機関、あるいは窃盗団や強盗団など、どんな分野においても集合体と言うものは存在しているのである。 無論― 多くの集合体が存在していると言っても、その大半は分野外の畑に影響を及ぼすものではないし、仮に世界をまたにかける巨大組織であったとしても、国家・政府の規模に及ぶものではない。 集合体の最上級は国でありそれを凌駕する組織など存在しない―それは紛れもない事実であり、世間的に知られている一般常識であるわけだが― しかし― それでもなお政府に抗い、一国の組織力・経済力・軍事力に匹敵する力を保有しつつある組織が、秘密裏に存在しているのであった。 『怪盗・ロワイヤル』 尊敬と畏怖の念を以てそう呼ばれる、表向きには誰も知らないことになっているこの組織は、世界中の誰もが知っている超巨大組織なのであった―。
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