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一騎打ちが終わって、コートに空きがなかったので、暇そうに隣でシャトルをポンポン上に上げてる野田に話し掛ける。
「……野田」
「ん、あぁ。腐トークしたいってやつ?」
「腐トークktkr……野田が腐トーク……」
「元カノに若干鍛えられたから、そこそこついてけるぜー」
「……嫌、じゃないんだな」
ラケットを動かし続ける野田のあっけらかんとした態度に、思わずおずおずと聞けば、爽やかな笑みが返ってきた。
「今更、ってやつかな。最初はちょっと引いたけど、聞いてる内に慣れたし、村瀬も話わかる奴とそーゆー話したいだろ?」
「したい」
「だと思った」
素直に頷けば、野田が爽やかに笑う。
これが元祖爽やか……!!
氏政みたいに変態要素が含まれてない分、眩しいぜ畜生。
「ぶっちゃけ、今何ハマってるんだ?」
「4月から不良×平凡ごり押し」
「あぁ…それで和田と田崎か。納得。でも、和田は見るからに村瀬ラブだよなー」
「サムはあれだ、周りをよく見てないからな。俺へのサムフラグをへし折って田崎にフラグ立つようにだな」
「田崎かー。田崎もなー……難しいと思う、俺。あいつ、受けって言うより、攻めって感じしないか?」
そう言われて田崎を見る。
俺のオアシスが攻め、だと?
だとしたら、受けるのは誰だ。南原か? 平凡×不良か!?
「つか、村瀬、真紀のこと王道って呼んでるのって、やっぱアレ? 王道転校生?」
「野田の理解力。そうそう、その王道から」
「真紀は王道って感じあんましなくねーかな? 何かもう副会長くらいしか言い寄ってないし」
「おかしい……つか、野田も言い寄ってなかったか?」
「あぁ、アレ?」
確か最初の方、天城と一緒になって王道に言い寄ってたイメージがあった。
それに対して野田は軽く笑う。
「その方が、村瀬嬉しそうにしてたから」
……こいつ、いつから俺が腐男子だと気付いてたんだよ。
だったら始めっから、元カノ腐女子と言う暴露してくれ。
「それに、真紀は……いや、これは良いか。天城も村瀬に懐いたから、俺も村瀬に懐こうと思って。むしろ懐かせる、が正しいか」
「本人を前にして、よく言うな」
「隠し事出来ない主義だし」
「…………」
今の今まで俺にこんな爆弾を隠してた奴が、隠し事出来ない主義と言うのは違和感しかないんだが。
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