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君の趣味を理解
本気を出す、と言ったサムは、あれから毎日毎日俺を好きだと素面で言ったり隙あらば押し倒そうとする、ガンガン攻めてくる訳で。
誰かあの暴走セクハラ機関車を止めてくれ……!!
今日の体育はバドミントン。例の如くラケット系にも興味がないらしい怠そうなお館様に、無気力巨漢萌え、と新ジャンルの萌えに滾ってれば、後ろから声をかけられる。
「むーらせっ、一緒に組もうぜ」
「野田か、良いぜ」
爽やかな笑みを浮かべた野田が、然り気無く俺の肩を叩きながらそう聞いてくるので、快く了承した。
その野田の後ろから、サム、田崎、王道、天城が乗り遅れたと言わんばかりに表情を曇らせてるのが見えるんだが。
「村瀬はバド経験者? ちなみに俺、バド部だから」
「マジかよ。俺なんて中学ん時にバド部の奴負かしたくらいの腕だぞ?」
「上等。やっぱそれくらいじゃねーとな!」
張り切る野田に、つい笑みが溢れた。
野田みたいなスポーツ馬鹿ってタイプが普段あまりいないから、こうして話してると気が楽になる。
不意に野田が俺の耳に小声で話し掛けてきた。
「つか、俺と村瀬組んだら、上手いとか抜きにしてもさ、村瀬的に有りだろ?」
「? 何が?」
「村瀬がいないんなら、和田と田崎、真紀と天城が組むだろ? そーすると、何だっけ……萌え?るんだよな? カップリング?」
「!!!!」
野田の一言に、思わず俺は目を見開く。
こいつ、今、何て。
「知ってるよ。村瀬、腐男子ってやつだろ。隠してねーし、それに、前から萌えとか何とか言ってたし」
「え、お、おま、腐男子、の意味……」
「男同士のラブが好きな奴のこと、だろ。元カノが腐女子でーす」
「野田ぁぁああぁあ!!!!」
まさか叩き込まずに腐を理解する者がこんなところにいたとは!
興奮して思わず抱き着けば、サムと田崎に押さえられ、野田は天城と王道にキレられてた。
いや、それよりも!
スポーツの話が出来て、少年漫画も読んでて話が合うと思ってた野田が、まさか、嗚呼まさか、腐もわかるとか!
俺、野田となら仲良くやっていけそうな気がする。
そんな熱い思いにテンション全開な俺は、何故かダブルスを組むはずだった野田と一騎打ちをする羽目になった。
軽く他のダブルスと戦ってみたら、俺らを相手出来る奴らが存在しなかったらしい。
ちなみに野田との一騎打ちは残念ながら負けたがな。
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