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コートの中に入れば、向こうには王道と天城が。仲良しトリオに巻き込まれたのか。
「野田ぁ! オレが勝ったら、兄貴と組むの代われよ!!」
「い、樹っ。おれが勝ったら、おれと……!」
「ま、無理だと思うけどな!」
「俺と野田コンビだしな。よし、野田。オーストラリアンフォーメーションだ! 俺、英二ポジな」
「ノリノリのとこ悪いけど、バドには無いぜ!」
前に出れば、「ラインライン」とツッコまれたので大人しくサーブラインまでは下がった。
相手が素人にも関わらず一方的に噛ます野田と爽やかにマッチポイントまできていた。
野田のドロップが決まったところで思わずハイタッチ。
「俺達最強!」
「村瀬……学園の柱になれ」
「ちょ、それなんて眼鏡部長。さっきまでのアレはもしかして野田ゾーン!? 俺は無我の境地開くべきなのか!?」
「ふ、二人で盛り上がんなよ!!」
「野田ばっか……!」
久々にネタを使いまくりでテンションの上がった俺に、天城のひょろいサーブがきたので思いっきりラケットの柄にスマッシュを叩き込み、ラケットを弾いてやった。
天城が唖然としながらラケットと俺を交互に見てくるので、鼻で笑いながら例の台詞。
「まだまだだね」
「決まったな、村瀬!!」
「やめろ、決め台詞がなんか急に恥ずかしくなったわ」
「だと思って言ってみたぜ!」
「確信犯うざっ!!」
終始ネタに走った野田と俺は、惨敗した王道と天城に向かって極上の笑みで「どんまい☆」と言っておいた。
そもそも、素人が経験者に勝てるはずがなかろうに。
何か無駄に野田と意気投合してきた俺、の背中から急に腕がのびてきて抱き締められた。
「他の男と楽しそうにしてる姿に嫉妬した」
「う、サム、たんまたんま、首入ってる!」
首に腕を回されて思いっきり入ったのを叩くと、緩められたが抱き締められたままだ。
動いたばっかだから暑苦しい。
サムを恨めしく睨んでると、隣に俺のオアシス田崎がやってきた。
「村瀬、カッコ良かったよ」
「ふ、惚れたか、ベイビー」
「古っ!!」
野田が逸早く反応して爆笑。
俺だって恥ずかしいぜ。
だが田崎から返ってきたのは、予想以外のもので。
「あはは、うん、惚れ直した惚れ直した」
「っ、た、田崎が流した、だと……!?」
笑いながらそう返してくる田崎にびっくりした俺は、サムに更にきつく抱き締められたとさ!
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