君の背中に欲情

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鼻歌(レパートリーがアニソンかボ○ロですまん)を口ずさみながら、俺は手中のマンガを本棚に戻す。 チッ、もう寮の備え付けの本棚が満タンだ。 たった一ヶ月で満タンだと? もう少し俺の趣味、主に萌えのためにどうにかならないのか。 まぁいい。 俺は機嫌がすこぶる良い。 今からこのテンションで、濡れ場とか見つけて、静かに(いや、鼻息は荒げてしまうのは仕方ないから許してくれ)見学してくるか。 ナイスBL。 イエスBL。 神よ、俺を腐男子にしてくれて有難う。 いっそこの感謝は我が姉に捧ぐ。 受け取れ腐女子、配達は毒電波だがな。 二人部屋に備わる俺の萌えの拠点・自室から出れば、共同スペースで寛いでいる美形がこちらに気づいた。 「イッキ、何処かへ赴くのか」 「Hey、サム。俺はこれから神が与えし試練を乗り越え、ご褒美を頂戴しに行く予定だ」 イッキって言うのは俺のこと。村瀬樹。名前違うだろ、風の王じゃないからな。 遠回しに「濡れ場見てくる~☆」と伝えれば、サム、こと和田修が、それはそれは見ただけで女子が孕むんではないか、と錯覚させる気怠そうな仕種――主にサラッサラな黒髪をかきあげる――をするから、反射で写メってしまった。美形過ぎる。 女子がキャーキャー言いそうな、ちょっとワイルド系の美形なサムは、見た目に反せず不良だが、根はとても良い奴だ。 立派な攻め要員だな。 イケメンは困ったな、と写メの出来に満足していれば、サムは俺の前まで来ていた。 170cmの俺が見上げねばならないくらいデカいよな。 まぁ、その分、ブツもデカいんだろうな。 早く受けにそのブツをぶち込んでくれ。 特等席で閲覧するから。
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