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――そう、本当だったら、肌の色は場所によって違うはずなんだ。少なくとも、日を浴びている場所は、個人差はあっても焼けているはず。
「お風呂から出たら、呼んでね。手錠、嵌めてもらうから」
真穂は俺の後ろに手を伸ばし、浴室の電気をつけた。昼間でも薄暗い浴室は、電気をつけないといろいろと不便なほどだった。
理由は単純、窓がないから。
浴室の壁もタイルではなく、灰色の石。初めて中を見た時は、まるで牢獄のようだと思った。
浴室から漏れる光が、真穂体を淡く照らし出す。
もう何度か見たことがあるとはいえ、ぞっとせずにはいられなかった。
露出の激しい、真穂の肌。その色は、まるで日の光を知らないんじゃないかってくらいに白いのだ。
陳腐な比喩でもなんでもない。
細い手首、すらりと伸びた足、黒いキャミから覗く胸の谷間、色素の薄い瞳を覆う瞼、いたるところから、静脈の緑がはっきりと透かし見えている。
そして、その肌には色の差というものが一切なかった。例えば腕の裏表や、露出している場所とキャミに隠れた場所。すべてが均一に、白い。いや、どちらかといえば青白い。
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