6.肌

18/19
1042人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
 ――そう、本当だったら、肌の色は場所によって違うはずなんだ。少なくとも、日を浴びている場所は、個人差はあっても焼けているはず。 「お風呂から出たら、呼んでね。手錠、嵌めてもらうから」  真穂は俺の後ろに手を伸ばし、浴室の電気をつけた。昼間でも薄暗い浴室は、電気をつけないといろいろと不便なほどだった。  理由は単純、窓がないから。  浴室の壁もタイルではなく、灰色の石。初めて中を見た時は、まるで牢獄のようだと思った。  浴室から漏れる光が、真穂体を淡く照らし出す。  もう何度か見たことがあるとはいえ、ぞっとせずにはいられなかった。  露出の激しい、真穂の肌。その色は、まるで日の光を知らないんじゃないかってくらいに白いのだ。  陳腐な比喩でもなんでもない。  細い手首、すらりと伸びた足、黒いキャミから覗く胸の谷間、色素の薄い瞳を覆う瞼、いたるところから、静脈の緑がはっきりと透かし見えている。  そして、その肌には色の差というものが一切なかった。例えば腕の裏表や、露出している場所とキャミに隠れた場所。すべてが均一に、白い。いや、どちらかといえば青白い。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!