ep5.秘密主義もほどほどに

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「何言ってんのこの人おおお!物騒すぎるだろ!そしてファーストだよ!紛うことなきファーストですよ!」 「ですよねー。下手だもんね、キス」 「ぐっ!」 隊長は悪戯っぽく目を細めて、私の唇にそっと人差し指を置いた。 「目、閉じて」 急に真剣な顔になって優しく言われた。 こんな隊長の声、始めて聞いた。 悔しいけど、逆らえない。 端正な顔立ちをひと睨みして、そろりと目を閉じる。 てっきり、またキスかと思ったら、 おでこに、耳たぶに、首筋に。 そっと柔らかな温かさがかすめる。 「あの、たいちょ・・・」 目を開けようとしたら、唇が重なった。 今度は本当に軽くで、すぐに離れる。 と、思いきや、また軽く重ねられる。 何度も何度も。少しずつ、少しずつ長くなる。 「口、少し開けて」 もう、言われるがままだった。 とろりと舌が差し込まれる。 「ん・・・・・」 感じたことのない、ゾワゾワした感触に襲われる。 これは、とりあえず、なんだか さっきと全然違う。 ゾワゾワに耐えられなくなってきた私は、隊長の着物をくしゃくしゃに握りしめる。
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