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またはなれていくんじゃないかって考えると前に進めない。
足に根が張ってしまったように動けないんだ。
私を笑わせようと頑張ってくれた空。
それが嬉しかった。
だんだん好きになっていった。
だけど、だけど。
動けない。
動けないの。
「その後、お前の家に連れていくから」
「分かった。
じゃあ、家で待ってる。
本当は私から話さなきゃいけないのに。
私も行ったほうがよくない?」
海季が深く、長いため息を付いた。
「空は大切な友達だから。でも俺は、海羅との事を黙ってた。
だからこれは俺が話さなきゃいけないの。
分かった?
家でちゃんと待ってろよ。後で電話するから。
この荷物持って帰って」
海季は私に買い物袋を渡し、
走って空の後を追いかけた。
“空”を見ると夕焼けが悲しそうに笑っていた。
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