罰-ばつ-

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西暦20××年。 午前10時。ある国のとある都市の裁判所前。晴天の下、そこに俺が乗ったパトカーが停車した。 俺は両手に枷をはめられ、強引に2人の男にパトカーから引きずり出された。 そして、ゆっくりと裁判所の表口まで歩かされる。 周りにいる多数の観客は、俺に罵声を浴びせ、空き缶やら石やらを投げている。 この殺人者どもめ。 自動ドアが開き、俺と2人の警官を飲み込んだ。 さっきまでの周囲の五月蝿い声が一瞬にして止む。 「あっちだ。さっさと歩け」 俺は言われるがまま、その指示に従う。 頭からはいつの間にか血が出ていた。それは俺の目にまで流れ、真っ赤な涙のように、俺の頬を静かに流れていった。 何故、俺がこんな状態に陥っているのか。理由は簡単だ。俺は罪を犯した。殺人だ。 ある日、家に帰ると、知らない男が俺の妻とベッドでヤっていた。殺しの理由など、それくらいで十分だ。 頭に血が上って、気が付いたら手に血が付いたナイフを持ち、妻と男が床に倒れていた。勿論、心臓は止まっている。
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