始まり

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生きる力を私にください。 そんな文を書き込んだ。 全ての始まりは、二年前の会社の定期検診。 胃の辺りに影が見えると言われ、病院へ行ったが、診断は「問題ない」だった。 去年の定期検診では、その影も見えなかったらしい。 そして今年、定期検診前に具合が悪くなり、病院へ行くとガンだと告知された。 私のイメージでは、ガンに完治は無い。何度手術をし、いくら取り除いても再発の恐れがある。それがガンだ。 それが私の中に? 始めに感じたのは「なんとかしなければ」という焦りだった。 物を壊してしまった子供の気持ちに近いかもしれない。 バレないうちに直さないと。治さないと。 そうは思っても、相手はボンドでくっつくオモチャじゃない。 大きな病院への紹介状を渡され、手術までの間、入院する事になってしまった。 家族には、なんて言えばいい…。どう話せば…。 心配をかけたくなかったけど、結局そのまま伝えてしまった。 なんと話してもガンはガンだ。どんなに遠まわしに話したところでそれに変わりはなかった。 大事なことは手術をするという事。 手術をすれば良くなるだろう。その後も薬やら検査やらあるだろうけど、元気になるためなら仕方のないこと。そう思ってた。
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