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「お、廊下で多数のマフィアを取り押さえたってさ」
「検問を張られないうちに急ぐぞ。レイラ、次の信号を右に行けば大通りの裏に出る。このままセーフハウスに向かおう」
「え?えぇ」
警官がラテックを発見するのも時間の問題だ。安全策を取るアルの指示通り右折して進むと、通りは徐々に賑わいを見せはじめる。
そこから少し行けば、セーフハウスだ。
「なぁ、ちょっと車停めてくんね?ケーキ食いてえ。夜中もやってる店が」
「却下」
言いかけたビリーにアルはそう言うと、小さくため息を吐いた。
「いかにもって格好でうろついてみろ。警官の格好の的だ」
アルが急ぐ理由はそれもあった。
ただ検問に遭っても理由は幾らでも誤魔化せるし、アルとレイラの服装もどうとも言い切れるが、ビリーのミリタリールックは趣味だと言っても警官の的になる可能性はある。
「んじゃ、着替えてからならいいんだろ?」
諦める、という選択肢はないらしい。
「あら、それなら私も何か買ってきてもらおうかしら」
横目でレイラが微笑むのを見て、アルはまたため息を吐く。
「アル?発想を変えれば買い出しも視察になるわよ?…少しナーバスになりすぎだわ?」
レイラの言葉に、アルは降参したかのように苦笑いを浮かべるしかなかった。
「そうだな…ビリー。俺もの何か頼んでいいか?」
「おう!勿論だ。ホットドッグでも買ってくるか?」
ニカッと笑うビリーに、アルはピクルス抜きで、な。と呟いた。
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