最終章 「俺はただ、友との約束を守りたいだけだ」

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『愚かな…、死ぬがいい岡崎聡』 ∞はそう言った後、俺達のいる場所の周囲のあちらこちらに電気で作った磁場を作成し、∞の破片や小隕石の欠片、宇宙空間に滞在するチリの一つ一つを結集し始めた。 それらの破片は固まり、一つの槍状の塊になると、俺達のいる場所に向かって発射してきた。 丁度…メインコンピューターには当たらない真上を含む角度から。 「茂!」 「わかってるよ、滅陣構、天満絶破開!」 だが茂はすぐさま周囲に空間固定魔法を展開し、槍状の塊の攻撃を防いだ。 っと思った矢先、槍状の塊は空間固定魔法を突き破り、俺達のいる場所へと侵入してきた。 「何ぃ!?」 「茂!」 「とりあえずまかせろ!」 空間固定魔法を突き破った槍状の塊を、茂は突然体中に電気をほとばしらせ、一瞬で槍状の塊の近くに移動し、それを一瞬で破壊した。 「茂…お前!?何だその力は!?」 「まぁ説明めんどくさい、ドーピングみたいなもんだと思ってくれ」 「ドーピングって…」 「そんな事よりお前はさっさとやろうとしている事をやれ!」 茂にそう指摘され、少し心配ではあったが目を閉じて意識を集中し始めた。 「まさか空間固定魔法を突き破るとはな」 『原理さえわかっていれば、なんて事はない、それに我は全ての空間を捻じ曲げるほどの力を持っているのだぞ?』 「まぁごもっともで」 目を閉じている最中、茂と∞のそんな会話が聞こえ、暫くして俺の周囲で激しい破壊音が鳴り響き始めた。 恐らく茂が∞の攻撃を次々に防いでいるのだろう。 「俺も…急がなければ」 意識を集中させろ。 まだ使った事はないが大丈夫、俺ならきっと大丈夫だ。 いや大丈夫とかの問題なんかじゃない、成功させなければいけないのだ。 俺の最後の技、魔法でもなく、気でもない、最後の技。 奥義とでも呼んだほうがいいのだろうか? とにかくこの技は…稲辺先生から教えてもらった技だ。 茂が記憶の97%を取り戻し、世界が危ないかもしれないという話を聞いて一週間後休日の事。 俺は稲辺先生との約束通り、外気功と内気功を使った応用技を教えてもらいに学校へと向かった。 『よく来たな、まぁ座りなさい』 稲辺先生はいつも通りの穏やかな表情で、体術部の部室の中にある座布団に腰かけていた。
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