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マスターのシェイクする音が響く。
俺は手元にあるコースターを、手持無沙汰にクルクルさせて遊びながら質問を続けた。
「酔ってる?」
「それなりに」
「嘘だ、全然。
目がイっちゃってない」
わざと近付けていた顔をもっと近くして覗き込む。
「顔近いよ」
「わざと近付けてるの」
「何それ」
彼女はまた、フフ、と笑った。
さっきとは若干違い、その顔には場馴れしているセリフに反して少しあどけなさを感じた。
素直に、可愛いと思ってしまった。
やっべ……。
ホントにビンゴだ。
この女。
BGMのジャズピアノの曲調が少しテンポのスロウなものに変わると、ショートカクテルがスッと手元に置かれた。
カツン……。
軽く乾杯をする。
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