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「怜也〔レイヤ〕のばかぁぁぁぁ―――――っ!!!」
流れる川の音に負けないような大きな声で叫んでも、あたしの胸の中のモヤモヤは出て行ってくれなかった。
今日は4月22日。
あたし…小竹 由衣子〔コタケ ユイコ〕の記念すべき20回目のバースデー。
大学生になって初めてできた彼氏と過ごす誕生日だからすっごく楽しみにしてたんだけど……。
ワクワクしながら連れて行かれた高級レストランでされたのは、別れ話だった。
今日は最高の誕生日になるはずだったのに!!
もう、一瞬にして最悪の誕生日になっちゃったわよっ!!!!
怜也はあたしを置いてさっさと店を出ちゃったから、文句すら言えなくって。
とりあえず、そのムカムカを気持ちを目の前に並んだの料理に向けてやったんだけどねっ!
2人分を綺麗に平らげてレストランを後にしたあたしは、そこでやっと携帯電話を手に取った。
「怜也なんか…怜也なんか……だぁぁぁいっきらいだぁぁぁぁぁ―――――!!!!」
このモヤモヤ全部を吐き出すことなんてできないってわかってたけど、とにかくそうすることしか自分を落ち着けることができない気がして、あたしは今まで以上のトーンで叫んでやった。
その声は木々に覆われた辺りに広がった後、夜の闇に溶けて消えてった。
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