Prologue-怪盗稼業も楽じゃねぇっ!

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咄嗟に掴まれた右腕をハンドルから離し、左手に全膂力を注ぎ込んで左に切る。 対向車と擦れ擦れで擦れ違い、避け切れなったカーブミラーが千切れて道路に置き去りになった。 し、死ぬかと思った。 今の一瞬で全身から汗が噴き出し、ハンドルを持つ手が滑る。 「殺す気かっ!テメェと心中するなんて死んでも嫌だぞ脳筋馬鹿っ!」 「そ、それってどっちにしろ死ぬってことじゃ……」 「うるさい!」 ビビリまくってる割りに冷静にツッコム相棒に悪態をつきながらハンドルを切り、三車線ある斜線を左右へ移動して対向車をかわして走行する。 もう一度ルームミラーを見ると、正面衝突寸前だった車があの後転倒してしまったようで、車の群れが壁となっていた。 鬱陶しいパトカーの姿は見えない。 運良く振り切ったらしいな。ま、死にかけたから、ラッキー、とは思えないが。
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