プロローグ

2/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
 勇者と覇王は蒼き星を背に両者は対峙する。  勇者は全身を覆うほどの大きな翼を持ち、その手には身の丈を上回るほどの大太刀が握り締められている。その全身は甲冑のようなものに包まれており、その眼差しはどこまでも真っ直ぐに見据えている。  覇王は勇者を遥かに超える巨体を持ち、蝙蝠の様な翼を大きく広げている。常に身体から噴き出している禍々しいオーラは、その眼差しと共に拒絶の意志を示している。  希望を司る、金色のエターナルキャリバー。絶望を振り撒く、漆黒のデスハザード。  対極を示す両者。そんな二人の戦いに、終止符が打たれようとしていた。 『お前の絶望の殻を壊すよ』  告げられたその言葉は、突き放すような響きはなく、むしろ全てを理解した上で受け入れているような温かさを帯びていた。  手に握り締めた大太刀を構え、勇者は覇王に対して渾身を込め、その剣を振り下ろす。 『カイザァァ……ストライクッ! フラァァァッシュッ!!』  勇者の一撃は確実に覇王を捉え、その身体を両断する。そして混沌に満ちたその身体を光で満たし、霧散させていった。  かくしてカオスガーデンの襲来から端を発し、地球に舞台を移して繰り広げられた戦い、後に”カオスガーデン事件”と呼称されることになる事態は終結することになる。  それは同時に、あらゆる悪意を結集した存在とも言える犯罪組織ハザードとの長きに亘る戦いが決着した瞬間でもあった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!