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1 ざわめく教室。 クラス委員の代弥喬子(よみ・たかこ)が教壇にたち、HRを開始する。 「先生、たいへんです」 と代弥喬子は、しずかに切りだす。 「どうした」と担当教諭の高橋。 「文化祭用のクラス予算、消えました」 「え。実行委員の笠原はどーした」 「いません。学校に出てきてません。こないだから連絡がとれないんです」 「ええっ」 「ヘンだなとは思ってたんですが、どうやらカノジョが全額横領のうえ逃走したものと」 クラス全員「えーっ!」 担当教諭の高橋は、ぼーりぼーり、とアタマをかく。 「またエライことしてくれたもんだな」 「どうしましょう。予算がないと文化祭の用意ができません。それにいまさら出しものを変更するなんてこと、実行委員会がゆるしてくれません」 「んー、まあ委員会のほうはなんとかなるだろ」 「でも先生、まずいんじゃないですか」 そう云う代弥喬子のかおには皮肉な笑いがにじんでいる。 「なにが」 「全部バラしちゃうと、大問題ですよ」 「あ。そーか」 「わかっちゃった時点で、カノジョ犯罪者ですよ?いーんですか」 「ああ‥って、おいおい代弥、まだ笠原のしわざと決まったわけじゃ」 と、高橋が云うところへ代弥がたたみかける。 「実行委員会からまわってくる予算なんてどうせ一律のホンのちょびっとなんです。ほとんどはクラスで集めた私たちのおカネなんです!」 「うんうんそーか」 「告発するにせよなんにせよ、解決方法の決定権は私たちにあるとおもうんですが」 代弥喬子の発言に高橋はいたく感じいったようだ。 「そうだな、うん。よくいった!さすが自主的運営による文化祭参加だよなあ、スローガンは生きている!」 「先生。そーゆーことはどーでもいーです」と代弥喬子は云いはなつと、クラスじゅうによくとおる声で、「とゆーワケ!みんな、異議はない?」 呼びかけられてクラス全員、てんでに勝手なことを喚き、ざわめく。むろん、誰が何をいっているものやら全然わからない。 「先生、」 と代弥喬子は、担当教諭高橋一之進を見かえる。 「ん」 「異議なしです」
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