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俺の名前はタイガ、寅年生まれってだけで親が勝手に付けた名前。
幼い頃から両親は離婚してて母親のもと育った。
俺の故郷は雪深い東北の山奥、そんな町がガキの頃から大嫌いで大好きだった。
東京に出てきたのは二十歳の夜、母親は泣きながら中途半端には帰ってくんじゃねぇって言って俺を見送ってくれた。
宛てなんてなかった、背中に背負ったギターとカバン一つで。
宛てはないと言っても住むとこがないと始まらない。しばらくは馴れない町をフラフラしながら漫画喫茶やカプセルホテルで過ごした。
母親もそんなことになるのはわかってた。
金もなかったし、家出同然で出てきた俺のためにこっそり母親は親戚に頭下げて預かってくれるように言ってくれてた。
母親から入ったメールには親戚の住所と電話番号、最後にこう書いてあった。
「とりあえず生きて行かなきゃしょうがないでしょ?仕事見つけて落ち着くまで世話になりなさい。」
最初は抵抗があった、ガキの頃に二、三回しか会ったことのない叔父さん。
そんなとこで急に一緒に生活するなんて・・・
それに誰にも頼らないで生きてくって言った手前なんか格好悪いと思った。
それから一週間フラフラしながら過ごしてた。
飛び込みで入ったライブハウス。
そこで出会った一人の男。
彼は仲間にこう呼ばれていた、「チャック」
緑のモヒカン、腕には趣味の悪い入れ墨、耳と顔はピアスだらけ。
あからさまに危なそうな奴だったけど何故かチャックと俺は意気投合して昔からのダチみたいにすぐ溶け込めた。
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