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竜神第一格納庫。無数の蛍光灯型LEDで照らされた格納庫だが、点灯している数はあまりないので明るいほどではない。
「あった、あった、私の機体、島風おひさー♪」
彼女は自分の愛機を見つけて飛び付いた。彼女の愛機は松島五式艦上戦闘機白雪。この外観上の機体は一見空冷式エンジンに見えるがラジエーターが機首に固められた水冷式エンジンを搭載している。主翼は下向きに生えていると思ったら翼端への途中で上向きに曲がっているW型、所謂逆ガル翼だ。その翼は今胴体に添うように折れ曲がっている。尚、『島風』は機体の固有の愛称である。
因みに第二十七航空隊は四機構成で全機が白雪で構成されている。
「おや、ここにいたか」
一人の中年の柔和な顔つきの男性が言音に近付いてきた。彼は羽鳥義一。竜神の艦長である。階級は大佐。50歳。
「あ、艦長」
言音はお辞儀した。
「さて最年少女性パイロット君、地元は満喫したかな?」
と彼は微笑んで質問した。彼女はにこやかに、はい、と答えた。とそこにもう一人
「小樽という町は私も好きでね」
眼力の強い仏頂面の男性がやって来た。彼は黒田明。黒田艦隊の総司令兼第六艦隊司令である。階級は大将。55歳。
「羽鳥君、そろそろ出航だ。本当は早く来れば私もその話しに加わりたかったのだがな。直ぐに艦橋に来てくれ」
「わかりました」
と羽鳥と黒田は第一格納庫をあとにした。
因みに黒田はポーカーフェイスだ。決して常に機嫌が悪いわけではない。
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