星も見えない空の下で

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静かに流れるこの今の時間の中で 聞こえてくるのは虫の音と微かに聞こえる車の走る音だけ 今0時を回り俺が見ているものは 星も見えない空 火をつけたばかりの煙草の灯り あちらこちらに見える街灯 穏やかに流れる川 そんなところかな そんで俺はそこで ただ佇んでいる 今もまだ消えない 君への想いを浮かべながら あれから10年だ そこで何度も過ちを踏む なぜそうしたのかは わからないんだ 俺はまた同じように大切に想う人を失ってしまった その人のこともまた君と同じように想うのかな 大切な人だから なぁ 今 あの時と同じ場所にいるんだ だから目の前に来て教えてくれよ ありえないけどさ もう会えないんだけどさ どうしようもなくこういうところだけは馬鹿なままなんだ いろいろ反発もしたが 今じゃ 惰性に生き 無難に生きてきた 俺にはもうわかんないんだ だってさ もうこの場所じゃ星が見えないんだ どうやって前を向けばいい どうやって踏み出せばいい いつからか わからないけど 俺はこんな弱い人間になってた 君に約束したのに 強くなるって また破っちまったな 始めてじゃないけど また自分の弱さをしったよ また強くなれるかな 教えてはくれないか でも聞いて欲しいんだ 今気づいたんだけど 星が見えたんだ 一つだけだけどさ 星も見えない空は俺の心の中だけだったんだ 君も見てるかな 彼女も見てるかな 一つだけ一際輝く星を また踏み出せる気がするんだ たった今だけど そんな気がしてきた 星も見えない空じゃない 一つだけ星が見えた空
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