幻想種の発芽

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 全てを知る賢者が永遠の命の言葉が吹き込まれた種を蒔いた。  種は大地に根付き、芽吹くと、時の沈黙の中で生命の歓喜を歌った。  同時に自ら放つ誘惑の香りにつられ破滅へ至るものを見、悲しみと罪を知った。  全てを悟る痴者が狂気の言葉も妄りに太陽の教えを説いた。  夢という錯乱した世界と、いずれ内なる宇宙に収斂する孤独の深さを。  光の先に見える暁の世界と、やがて訪れる黄金の扉の開かれる時を。
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