―夕暮れの夜明け―

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町外れの埠頭にある汚い南倉庫、そこが取引場所で、待ち合わせ場所だった。 「よう拓、よく来たな」 郷田は既に来ていて、他に15人くらいが時間までの暇を潰していた。 「慣れ慣れしいんだよ。それに来たくて来たんじゃねぇ」 俺が不機嫌にそう言うと周りの連中は一瞬驚き、恐々と郷田の様子を伺っていた。 どうやら怒らせたくない人物…それだけ恐く強い…ってことか…? だけどそんなピリッとした空気を吹き飛ばすように郷田は笑った。 「本当、いい度胸してるぜ!この俺にそんな口利くとはな!」 これに安心したのか、安堵のため息と同時に周りの空気が和らいだ。 「褒められても気に入られても嬉しくないっての…」 そう呟きながら郷田の隣に座った。 その行動に郷田は益々満足そうに笑っている。 ………ムカつく。 「あれ?これで全員?まだ来るのか?」 今は4時半、あと30分はあるが普通は早めに集まるもんだろう。 これで全員なら…なんとかイケそうだな…。 だが、その考えはすぐに消されてしまった。 「いや、あと15人くらい来る予定だ。何分忙しい奴等だからな」 ………あ、そう…。 .
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