27/39
1500人が本棚に入れています
本棚に追加
/383ページ
固まった総司を警戒しつつ覗き込むと、先程よりも悲しそうな眼差しが返って来た。 「なんか調子悪ぃからもう寝るわ。 真生も用事があんならさっさと済ませて戻れよ。」 途中まで伸ばした手を引き寄せ、わざとらしく欠伸をしながら立ち上がり自室へ戻る。 真生はいつもと違う彼を気にするが、本来の目的を思い出し総司に続いて縁側から離れた。 緊張で早まる鼓動と相反して、歩調は段々遅くなる。 烝との誤解も解けていないし、何より今日は最悪の出来事があった。 しかし山南が遺してくれたこの文を先延ばしにはしたくない為、怯える自分を叱咤する。
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!