♯10.重力操作〔グラビティー〕

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東仙が高くジャンプし、一つの木の上に乗っかる。 この時、二神悠斗は何となく察した。 これから何が起こるのか。どうなるのかを。 ちょうど二神の立っている場所からは、東仙は葉っぱの裏側に隠れて見えない。 次の瞬間、緑で満ちていた木は茶色く細い枝が見えるようになった。 何が起こったのか、一瞬二神は分からなかった。 ツー、と二神の頬を赤い血液が伝う。そこで初めて状況を理解し始めた。 が、すでに遅かった。 雨のように降ってくる凶器と化した葉っぱが二神を襲った。 頬、腕、足という体の至るところに傷が出来た二神は、片膝をつく。 木の上にいる東仙を見ると、人殺しのような殺気溢れる目をしている。 「どうすれば……」 パキッと東仙は木の枝を一本折り、それを二神目掛けて投げてくる。 その速さは想像を超えた速さだった。 グサッという鈍い音がした。 「クッ……」 二神の右肩辺りに、槍のように先が尖った木の枝が突き刺さる。 二神は地面に倒れ込む。 自分の中から、何かが溢れてくるような気がした。 ドクッ……ドクッ……。と一定のリズムで心臓が脈打つのが聞こえる。 気がつけば周りは真っ暗だった。 東仙は見た。 気を失い地面に倒れる二神悠斗から、どす黒いオーラのようなものが出ているのを。
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