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東仙が高くジャンプし、一つの木の上に乗っかる。
この時、二神悠斗は何となく察した。
これから何が起こるのか。どうなるのかを。
ちょうど二神の立っている場所からは、東仙は葉っぱの裏側に隠れて見えない。
次の瞬間、緑で満ちていた木は茶色く細い枝が見えるようになった。
何が起こったのか、一瞬二神は分からなかった。
ツー、と二神の頬を赤い血液が伝う。そこで初めて状況を理解し始めた。
が、すでに遅かった。
雨のように降ってくる凶器と化した葉っぱが二神を襲った。
頬、腕、足という体の至るところに傷が出来た二神は、片膝をつく。
木の上にいる東仙を見ると、人殺しのような殺気溢れる目をしている。
「どうすれば……」
パキッと東仙は木の枝を一本折り、それを二神目掛けて投げてくる。
その速さは想像を超えた速さだった。
グサッという鈍い音がした。
「クッ……」
二神の右肩辺りに、槍のように先が尖った木の枝が突き刺さる。
二神は地面に倒れ込む。
自分の中から、何かが溢れてくるような気がした。
ドクッ……ドクッ……。と一定のリズムで心臓が脈打つのが聞こえる。
気がつけば周りは真っ暗だった。
東仙は見た。
気を失い地面に倒れる二神悠斗から、どす黒いオーラのようなものが出ているのを。
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