最終章 【光と闇の世界】

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「はい、わかりました」 …と言っておく。 「じゃあ、行ってきます」 そして俺は病院前からタクシーに乗って警察署に向かう。 斉藤に面会する前にもう一度ビデオが見たい。 警察署につくと廊下で署長に会った。 「こんにちは…」 なんだか、この人は苦手だ。 俺を利用したいと顔に書いてある。 「おお!! 滝川君。 昨日はすまなかったね。 今日も取り調べかい?」 「はい…」 「伊達から聞いたが、君は滝川 英樹裁判官の息子さんだそうだね!! こんな優秀な息子さんを持って滝川裁判官も鼻が高いだろう。 あっでもこの件は…」 「大丈夫です。 父には絶対に話しません。 それに父は忙しいので、会うことも少ないですから」 「そうか、そうか!! 期待しているよ!! 君には是非うちの署に来て欲しい」 伊達さんが聞いたら嫌な顔をするだろう。 「あの…取り調べの前に昨日見せてもらったビデオをもう一度見たいんですが…」 「わかった。 鑑識に連絡をしておくから」 「お願いします」 俺は捜査課を覗いた。 奥の長椅子から伊達さんの足が見える。 汚れた靴。 現場の刑事の靴だ。 「すみません。 滝川と言いますが、伊達さんが起きたら鑑識に居ると伝えてもらえますか?」 近くにいた警察官に伝言を頼んだ。 「署長からは許可を頂いたので」 そう付け加えて。
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