回顧

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 絶望と孤独と虚無が絶え間無く祐司に押し寄せた。 幼少の頃から、あれほど慣れ親しんだゴルフクラブを持つだけで頭が割れる程痛くなる。 猛烈な吐き気に襲われ実際に何度も嘔吐(おうと)した。 (くそっ、俺からゴルフをとって何が残るというんだ) 無理やりアドレスしてみた。 身体は石のように固くピクリとも動かない。 手枷足枷(てかせあしかせ)を付けられ両肩に巨大な重しが乗っているようだ。 クラブを振るどころかどうやって上げるかさえ見当もつかない。 脂汗が全身から噴き出た。 痙攣(けいれん)…… 意識昏迷…… 嘔吐…… 失禁 昏倒(こんとう)  気がつくと病室に居た。 心配そうに父が顔を覗きこんでいた。 「父さん」 「やっと気付いたか」 「俺どうしたんだ?」 「部屋で倒れたんだ。救急車で連れて来たよ」 「そうか……」 「記憶がないのか?」 「……あまり」 心電図と思しき装置からの電子音が虚しく響く病室。
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