第零話 PKK、諸悪狩りのユエ

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「………帰るか」 誰が聞いているわけではないがぽつりと呟き、オレはゆっくり歩きだす 一日分の《依頼》の達成。 相変わらず今日も生き延びた。 しかし、ねぐらに戻り、短い休息をとれば、すぐにまた次の《依頼》が舞い込んで来る。 いかにレベルに差があると言っても、ダンジョントラップやBOSSモンスター、あるいは毒薬を利用されれば勝率は百パーセントではない。 そんな戦闘を永続的に繰り返していれば、いつかは勝利の女神に手痛くフラれる時が来るはずだ。 問題はその女神に愛想を尽かされる前にこの世界(ゲーム)が《クリア》されるか否か……ということだ。 生還を最優先に考えるなら、安全圏である街から一歩も出ずに《クリア》される日を待つ方が利口と言えるだろう。 だが、そうせず、毎日のように単独(ソロ)で殺人者(レッドプレイヤー)達を《キル》し続ける日々を送っているオレは、VRMMO(仮装大規模オンラインゲーム)に骨の髄まで取り付かれた中毒者なのか、あるいは……単なる殺人鬼なのか。 「マイナス思考は柄じゃないなwww」 オレは自分に言い聞かせるようにもう一度呟き、あの日の事を思い出していた。 二年前。 全てが終わり、そして地獄が始まった、あの瞬間を。
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