原始世界

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 遥か昔、神話時代よりもさらに遡る、人が言語を獲得し、意思の疏通が可能になったばかりのころの話である。  言葉の発生とともに感情が生まれると、何に対して喜び恐れるのかを共有するようになり、お互いを知ることが可能になった。  見えざる力――暴れる自然現象は生を脅かし、それらは芽生え始めた心に救済願望と祈りを与え、後に宗教と呼ばれるものの始まりを告げる。  祈りは信仰へ深化すると力を奉るに至り、見えざる力の鎮静行為をするものが現れ呪術や階級社会が発達、人が邪な力を付け始めた。  現実的な目を持つものは、自然現象の理解と解明から論理的な支配を試みるなど、世界追究の萌芽も見えてきた。  人は自然現象を享受する姿勢をとり、時として抗い立ち向かうことによって、あらゆるものへの理解を深めた。  また、事象の存在と認識を世界に位置付ける過程で、己を当てはめる作業も忘れず、世界の中での在り方を探ることにより精神の成長を遂げた。
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