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ああ、私が今までしてきた八方美人の振る舞いは、決して無駄ではなかったのね。
そのせいで、友達は居ても親友と呼べる女子が居なかったとしても、後悔はない。
天国のお母さん、おばあちゃん。
私はたった今、ようやく悟れましたわ。
今までの作り笑顔と八方美人は、この時の為に存在していたのだと。
だってこんな、少しでも気に入らない事をすると取って食われそうなキルマシンG‐G(じじぃ)……。
私が今まで培ったスーパー☆コミュニケーション☆スキルがないと突破できそうになかったもの!
そんな上辺だけの笑顔を大層気に入ったのだろう、我が祖父殿は満足そうに言いのけた。
「『おじいさん』やなんて他人行儀なこと言わんで、『雄(ゆう)二郎(じろう)さん♥』て呼んでくれェ!」
――件名:突然ドイツへと転勤してくれやがったお父様。
――本文:私は、人生で初めて貴方を呪いたく存じ上げます。
母を失った私を育てるため、一家の大黒柱と主夫を兼任してくれたんだから、感謝の方が多いんだけど。
……だけど。
よくもこの私を、舞鶴なんてド田舎、しかも絶対元ヤクザな男の家へ預けてくれたなテメェ日本帰って来たらマジ覚えてろよ畜生め‼
海外に居る父親には届かないであろう文句を、心の未送信トレイにぶち込む。
一体いつから干してないのだろう、じっとりと湿った布団の中。
寝入るまで収まることの無い鳥肌を立てながら、眼を閉じた。
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