1858人が本棚に入れています
本棚に追加
/3000ページ
校門を過ぎ、連れもなく一人で家までの道を歩いていく。
下校の途中でも頭の中は昼休みの出来事でいっぱいだった。
―――もう一度アンダーグラウンドに行き、本部で幟季という人と話す……。
「はぁ……」
考えれば考えるほど、ため息が出てしまう。
ギートは前に"世界維持組織リリーヴ"に所属していると話していた。
規模が大きすぎて想像出来ないが、詩音とギートが所属している組織なら、きっと悪い組織では無いだろう。
まだ出会って間もないというのに、俺は詩音とギートをすっかり信頼していた。
二人はあの危険な世界から俺を助けてくれた恩人だ。
疑うのも返ってバチが当たりそうな気がする。
帰路の道を歩んでいくと、丁度あの廃墟のビルに差しかかった。
俺が自殺をしようとしていた例のビルだ。
あの時アンダーグラウンドに繋がる空間の歪みが現れなかったら、俺は今ここに居なかったのだろう。
―――相当、運がよかったんだな。
複雑な心境に浸りながら、ビルの横を過ぎようとしたその時、
「なっ……!?」
人影がビルの路地から飛び出してきた。
突然のことで反応できず、腕を掴まれて路地に引きずり込まれる。
「い゛っ!?」
抵抗しようにも相手は複数人。
暴れる隙も与えられず、ビルの壁に勢いよく叩きつけられた。
こんな野蛮なマネをする奴らには心当たりある。
きっとあの連中の仕業だろう。
最初のコメントを投稿しよう!