逃走

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校門を過ぎ、連れもなく一人で家までの道を歩いていく。 下校の途中でも頭の中は昼休みの出来事でいっぱいだった。 ―――もう一度アンダーグラウンドに行き、本部で幟季という人と話す……。 「はぁ……」 考えれば考えるほど、ため息が出てしまう。 ギートは前に"世界維持組織リリーヴ"に所属していると話していた。 規模が大きすぎて想像出来ないが、詩音とギートが所属している組織なら、きっと悪い組織では無いだろう。 まだ出会って間もないというのに、俺は詩音とギートをすっかり信頼していた。 二人はあの危険な世界から俺を助けてくれた恩人だ。 疑うのも返ってバチが当たりそうな気がする。 帰路の道を歩んでいくと、丁度あの廃墟のビルに差しかかった。 俺が自殺をしようとしていた例のビルだ。 あの時アンダーグラウンドに繋がる空間の歪みが現れなかったら、俺は今ここに居なかったのだろう。 ―――相当、運がよかったんだな。 複雑な心境に浸りながら、ビルの横を過ぎようとしたその時、 「なっ……!?」 人影がビルの路地から飛び出してきた。 突然のことで反応できず、腕を掴まれて路地に引きずり込まれる。 「い゛っ!?」 抵抗しようにも相手は複数人。 暴れる隙も与えられず、ビルの壁に勢いよく叩きつけられた。 こんな野蛮なマネをする奴らには心当たりある。 きっとあの連中の仕業だろう。
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