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健志の家では、静養している薫と健志が洗濯物を外に干していた。
ベランダに立つ健志の近くに降り立った真琴は、中に薫がいるのを確認して入って行く。
薫の言葉に出来ない感情が、ぐるぐる渦巻いて大蛇に巻き付かれているかのようだ。
(助けて…苦しいよ…誰か…助けて)
薫を守ると誓った真琴は、負のエネルギーに侵食されていく薫を見逃してしまった。
見えない大蛇が負のエネルギーをまとい、薫から離れようとしない。
キリキリと全身を締め上げて薫の体が、心が苦しみ、泣いていた。
その様子を見て、真琴は涙の嵐に襲われた。それと同時にあさみのフラッシュバックが駆け抜けて行く。
あさみにもの大きな大蛇が、まとわりついていたのではないかと…
当時の真琴には分からなかったが、今なら見える。
あの時も、メッセージは所々であったのだ。
未熟さゆえ、そして己の力に酔いしれていて、大切なあさみの…一番近くにいた大切なパートナーの異変に気付けなかった。
薫の姿にあさみの姿が重なって見える。
また、救えぬのか。また、あの悲劇を繰り返してしまうのか…
何度も薫こそは、救いたい。そう誓った…初めてあったあの時から。
だが、自分の中にある過去のトラウマが弱さがそれを邪魔をする。
真琴はくらくらと意識が遠退き、その場に倒れ込んだ。
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