小糠雨フル

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    ザワザワと行き交う人の波。 いつ来ても賑やかだなぁ、と内心辟易して、広い駅の構内を歩きながら電話をかける。 「───あ。カルマ?」 2回のコールで出た相手に、少し驚いた。 『お前、今何処だよ』 ちょっと不機嫌そうな声音。 それもそうだろう、待ち合わせ時間はすっかり過ぎ、30分遅れの到着なのだから。 「ホントにごめんなさいっ! 今、駅着いたから。何処行けばいい?!」 携帯相手に、頭を下げながら謝る私は、足早にカルマの待つ喫茶店へと向かった。 駅ビルの中を、溢れる人ごみを掻き分けてたどり着けば、ガラス張りの外装からカルマの姿が見えた。 不機嫌丸出しの、腕を組み少し横柄にふんぞり返ったその様子に、思わず苦笑する。 ドアベルを鳴らして店内に入ると、その音に反応した二,三組の待ち合わせらしい男女の視線がこちらに向けられたけれど、カルマは態勢を崩すことなく煙草をくゆらせている。 席へ案内しようと出て来たウェイターに、「待ち合わせです」と言ってカルマの向かいに腰を下ろした。
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