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「おせぇ」
「ごめん」
ベンチタイプのシートに片腕を乗せて、上から見下ろすように言ったカルマに、私は愛想笑いを浮かべて謝った。
水を運んで来てくれたウェイターにカフェラテを頼み、冬の乾燥した空気に渇いた喉を潤すようにゴクリと音を立てて水を飲む。
ふぅっと一息ついて、煙草に火を着けるカルマをチラリと伺った。
「……」
「……んで?」
どうやって切り出そうかと、紫煙を眺めながら思案していると、短くなった煙草を灰皿に揉み消しながらカルマから切り出してくれる。
そういうところが、カルマは優しい。
いつも横柄な俺様カルマ様だけれど、なんだかんだ言って優しくて頼りになるんだ。
「あ……、うん」
私は『ふぅぅっ』と一つ深呼吸して、テーブルに両手をつき頭を下げて、
「私の彼氏になって下さい!」
勢いつけて言い放った。
「…………」
「……」
──あ……、間違えた
恐る恐る顔を上げると、驚いた顔で固まったカルマさん。
そんな顔を見たら私は嫌な汗を浮かべて黙り込むしかなくて、間違いを訂正しようと思うのに言葉が見つからなくて、目を泳がせてただ口だけをパクパクとさせる。
そんな私を見て何を思ったのか、我に返ったカルマは呆れた様な優しい笑みを浮かべてくしゃりと私の頭を撫でた。
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