ほとんど100cm

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「友達になってくだは、い」 ……噛んだ 小学5年生の林間学校で告白した以来の、ビックイベントなのに! あたしって何てダメなやつなの?! 「…さい」 焦った気持ちを落ち着かせる為に、語尾だけ言い直した あたしの分厚い前髪と、さらに分厚い眼鏡の先の立花さんの表情が怪訝な顔に変化した 思わず後ずさる ま、負けないっ 負けないっっ 勇気出して言ったんだからっっっ 「…誰?」 ガーーン 強烈に効いた 殴られるより、辛いかもしれない ……いや、殴られる方が辛いんだろうけど 「同じクラスの…」 申し訳ない気持ちで告げると、あたしを威嚇していた立花さんもつられるように少しだけ表情を緩めた 良かった あの目でずーっと睨まれたら、漏らしちゃいそうだもん 人気のない渡り廊下はヒンヤリしていて、足が小刻みに震えている 寒いせいじゃないんだけど 「呼び出しでもくらった?」 へ?…呼び出し? 「……いじめられてるとか?」 あぁ、なるほど こんな見た目だから不良にお金をせびられたり、いじめられてるって思わ 「違います!」 頭の中で言い終わる前に、大きな声が出た 「そんなんじゃない! そんなんじゃないんです!!」 思わず近付きすぎたのか 立花さんが戦闘体制と言わんばかりにかまえたので、慌てて後ずさった 自慢じゃないけど、人を殴った事もなければ、殴られた事もない たっぷりの距離をとる 「…本当に、友達になりたいん、です」 噛まずに言えた! 心の中で思わずガッツポーズ 立花さんの大きい目が、ジィっとあたしを見る 超分厚い眼鏡の奥に、何かを探すみたいに 「馴れ合うつもり、ないから」 そりゃ、もう キッパリと言われました 「それに、自分で選ぶ」 <友達を>の部分を抜いたのは、わざとだったのかなぁ 寒い渡り廊下に、ペタリと座った なんだか埃っぽい うーん うーん やっぱり、駄目だったかぁ 勇気、出したんだけどなぁ あれはショックだったなぁ 教室に戻ると、騒いでる皆と 席に一人座る立花さん 窓際で、いつもみたいに外を見てる あたしの視線を感じたのか、目があった ちょっとびっくりしてるみたい そうなんです 本当に同じクラスなんです あたしは一番後ろの自分の席に着いた 立花さんがこっちを疑っているのが分かる …そうなんです あたし、あなたの後ろの席なんです うーん ショックだなぁ 100cmしか離れてないのになぁ
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