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リーファイとゲイルは、かろうじで通れるようになったゲートから中に入り、パネルを操作して扉を閉じ始める。
リーファイ「ダルパ!!…有り難う…」
ダルパ「…行ったか…」
重戦機が目の前に迫っている。ダルパは腰からスイッチにケーブルがついたものを取り出す。
ダルパ「……ォォォォオオオオ!!」
重戦機が飛びかかるのと同時にスイッチを押す。
カチ…
ドオオオオオオオォォォン!!
激しく施設が揺れる。
ゲイル「…逝ったな…勇敢な戦士よ。誇りに思うぞ。」
リーファイ「ゲイル様…このエレベーターで地下の実験室に降りて下さい。」
ゲイル「リーファイ殿はどうするのだ?」
何かに気づいたようにリーファイに訪ねる。
リーファイ「マザーシステムの設定に向かいます。ですから、一緒には行けません。…私も…死に場所を見つけました。」
ゲイル「…すまんな。…来世でまた会おう!!」
リーファイ「えぇ…またいつか…」
ゆっくりとエレベーターが閉まり、地下へ降りていく。
リーファイ「…よし」
厳重な扉を開け、中に入る。
リーファイ「マザーシステム起動。SPR18を起動。…後は任せたぞ」
マザー「…リーファイ博士と認証。命令を実行します。実行後にこの部屋の扉はロックされ、室温-20度まで下げられますが、博士は退出しますか?」
リーファイ「…いや。実行だ。私はどうでもいい。」
マザー「了解。プログラム実行。ドア・ロック。室温-20に設定。」
室温が下がっていくなかで、リーファイは呟く。
リーファイ「……私は一足先に…眠ります……」
ピーン
ガコーン
エレベーターのドアが開き、研究所に到着する。
ゲイル「…これか…」
自動的に大型カプセルが開閉する。
ゲイル「…すまない…お前をまともな世界で育てる事ができなんだ。…それだけが悔やまれる。」
カプセルにゆっくりと赤子を入れ、パネルを操作する。
ゲイル「ぐ…うぅ…」
床に大量の血が広がる。
ゲイル「…行け…我等が希望…お前だけが最後の希望だ。」
機械が稼働し、カプセルが光を帯びてくる。
ゲイル「……強く育て……我が子…エリルよ!!……」
光と共にカプセルが消える。
ゲイル「……あぁ……今逝くよ…ユーリ………」
安らかな顔でゲイルは眠りについた。
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