序章~記憶の原点~

4/5
62人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
リーファイとゲイルは、かろうじで通れるようになったゲートから中に入り、パネルを操作して扉を閉じ始める。   リーファイ「ダルパ!!…有り難う…」   ダルパ「…行ったか…」   重戦機が目の前に迫っている。ダルパは腰からスイッチにケーブルがついたものを取り出す。   ダルパ「……ォォォォオオオオ!!」   重戦機が飛びかかるのと同時にスイッチを押す。   カチ… ドオオオオオオオォォォン!!   激しく施設が揺れる。   ゲイル「…逝ったな…勇敢な戦士よ。誇りに思うぞ。」   リーファイ「ゲイル様…このエレベーターで地下の実験室に降りて下さい。」   ゲイル「リーファイ殿はどうするのだ?」   何かに気づいたようにリーファイに訪ねる。   リーファイ「マザーシステムの設定に向かいます。ですから、一緒には行けません。…私も…死に場所を見つけました。」   ゲイル「…すまんな。…来世でまた会おう!!」   リーファイ「えぇ…またいつか…」   ゆっくりとエレベーターが閉まり、地下へ降りていく。   リーファイ「…よし」   厳重な扉を開け、中に入る。   リーファイ「マザーシステム起動。SPR18を起動。…後は任せたぞ」   マザー「…リーファイ博士と認証。命令を実行します。実行後にこの部屋の扉はロックされ、室温-20度まで下げられますが、博士は退出しますか?」   リーファイ「…いや。実行だ。私はどうでもいい。」   マザー「了解。プログラム実行。ドア・ロック。室温-20に設定。」   室温が下がっていくなかで、リーファイは呟く。   リーファイ「……私は一足先に…眠ります……」   ピーン   ガコーン   エレベーターのドアが開き、研究所に到着する。   ゲイル「…これか…」   自動的に大型カプセルが開閉する。   ゲイル「…すまない…お前をまともな世界で育てる事ができなんだ。…それだけが悔やまれる。」   カプセルにゆっくりと赤子を入れ、パネルを操作する。   ゲイル「ぐ…うぅ…」   床に大量の血が広がる。   ゲイル「…行け…我等が希望…お前だけが最後の希望だ。」   機械が稼働し、カプセルが光を帯びてくる。   ゲイル「……強く育て……我が子…エリルよ!!……」   光と共にカプセルが消える。   ゲイル「……あぁ……今逝くよ…ユーリ………」   安らかな顔でゲイルは眠りについた。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!