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暫くの沈黙の後、べっさんは徐に手を伸ばしてきた。
尻尾に。
「っ、にゃ!?」
「何だ、飾りじゃ無かったのか」
「き、気付い…ぅ、触るの、やめ……んっ、」
「どういう仕組みだ? 触ると感じると言うことは、体についてるのか? 村瀬、今どんな気分だ?」
尻尾をやわやわと触りながらそう聞いてくるべっさんは、とても楽しそうだった。
畜生、このドS!!
どんな気分とか言える訳ないだろ。見て察しろし!
と言うか触り方エロい!!
やだ、このエロリストやだ!!
ちょ、マジでヤバい。体に力が入らない。何この尻尾。もげろ!!
「べ、べっさん……も、やめ……無理だ、って」
「…………エロいな」
俺の顔をしげしげと見ながらそう言うべっさんの方がエロいからな!?
睨み上げれば、べっさんはフッと笑い俺の髪を撫でる。
いや、あの……手つきがいちいちエロいのは仕様なのか?
「まるで猫だな」
「……ぅ」
「猫は好きだぞ。媚びてこない、自尊心がある、自由奔放、それでいて愛嬌がある」
「べっさんは……猫好きなのか」
「まぁ……目の前の猫を愛でてやりたい、とは……思うが?」
そう言いながら俺の目元を撫で、普段見たことない物凄く柔らかい笑みを浮かべるべっさん。
誰 だ こ の イ ケ メ ン !!
この笑顔、超貴重!
何故この場に俺しかいないのか、激しく問い質したい!!
どんな奴でも、この笑顔に持って行かれるからな!
べっさんの笑顔、最早最終兵器。
「村瀬、どうかしたか?」
「え、いや……」
「それにしても、村瀬がこんな姿では危険だな」
「は?」
「誰かに見つかる前に、匿ってやる。村瀬、おいで」
「!! 何処へなりと!!」
べっさんが俺に手を差し出して、顔を綻ばせながら"おいで"だと……!?
"おいで"の破壊力とべっさんの笑顔に完全にやられた俺は、べっさんの手を掴んだのは言うまでもなかった。
「ほら、村瀬。ほら」
「うぅ、体が勝手に動く……!!」
風紀委員室に来たべっさんは、何処からか出した猫じゃらしで、ずっと俺で遊んでたのは余談だ。
あんなに楽しそうなべっさんは、かつて見たことあっただろうか。
べっさんは猫好き、と言う結論で落ち着くと、俺の意識はそこで途切れ、気付くと自分のベッドの上だった。
「……何と言う夢オチ」
何故猫パロ、と思いながら、今日の夢をサムや田崎達に話すと、何故か一様に残念がられたと言う。
何が残念なんだ?
END.
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