紅の姫君

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サラは、寝間着の懐から護身用の短刀を取り出そうとした。 しかし、ラズロは穏やかに笑っていた。 「相変わらずの警戒心だな。 何度も会っているのに、俺は全く信用されていないようだ」 「……レオンは……無事なのか……?」 「当たり前じゃないか。 言っておくが、これは俺の独自の作戦さ。 親父も他の連中も、このことは一切知らない。 実は、白組の方針を転換するべく計画中でね。 まぁ革命といったところかな……。 だがそのためには、赤組の協力が必要だ。 それで俺は、前からサラに目をつけていたというわけさ」 ……あまりにも重要なことを、ラズロはさらりと言ってのけた。 窮地に陥ったサラを助けたのも、ルートを嫁にと言ってきたことも 目的はそのためだったというのか。 「……方針転換……。 革命だと……?」 「ああ、そうさ。 俺にとっての本当の敵は、赤組や黒組のような"組織"じゃない。 国が3つに割れた状態をここまで長引かせた、"3人の組長"なんだよ」
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