#01「出会いは偶然か必然か」

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『亜美奈って調子乗ってるよね』 『なにが歌姫よ。ちょっと上手いだけじゃない』 『どうせ腹の中は真っ黒なのよ』 仲間だと思っていた人は、陰でわたしを妬んでいた。 歌が好きだから、歌うの。 そう思う気持ちは誰だって一緒じゃないの? 本当はみんなは仲間だなんて思ってなかった。 もちろん、そんな私の周りからは友達が離れていった。 両親は私が生まれてすぐ別居。 母親は私を仕方なく引き取った。 母親は父親似の私が嫌いだ。 当然、母親からは見放され、最近は私の存在すら否定する。 恋人に子持ちだと知られなくないのだろう。 『今日は家に帰ってくるな』 そうメールを送ってくるときがあるんだ。 私はいらない存在。 価値なんてないの。 人を信用するほど、深入りするほど、馬鹿馬鹿しい。 私は人間という生き物を嫌った。 自分の好きなものも、信頼するひとも、頼れるひとも全て失った。  
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