EPISODE:3-守るために-

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「ロイネ!!」 日本支部に着くと同時にロイネを探し、ものの数分で見つけることが出来た。 「緋嫋、戻ったか」 「日向は?」 「かなり、ヤバい。 一度、治療されたみたいだが、即時状態を生きるか死ぬかの局面に留めたというところだ」 「お前なら治せるんじゃないのか?」 「俺じゃあ間に合わない…… 十六夜(いざよい)に任せたよ……」 「……ライフ・アウトがやるほどなのか?」 緋嫋はぐっと奥歯を噛み締める。 「あとは、十六夜がなんとかしてくれる。 お前は休め。 俺の方で必要なことはやっておく」 「……あぁ」 「緋嫋さん!」 振り返ると、ソフィが息を切らしながら駆けてくる。 「無事だったんですね」 「あぁ」 「あの、こんなときに言っていいのかわからないんですけど……」 「ん?」 彼自身、かなり落ち込んだだろう。 仲間が即時段階の傷を負っていたのだ。 当然といえば、当然だろう。 そして、怒りも憎しみもかれには芽生える。 だからこそ、彼はこの言葉に救われた。 仇という憎しみに捕われず、守る意味、守るものを思い出させたこの言葉に。 自分が前に進む道を示したこのソフィの言葉に…… 「お帰りなさい、緋嫋さん」 緋嫋は静かに彼女の頭を撫でた。 「……ただいま」 緋嫋は日本支部に戻っていく。 ソフィのおかげで、日向が助かると信じることが出来たのだから……
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