2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
かつて彼は神に挑み、破れた。今は荒れ果てた古城に誰とも会うことなく一人佇む。
人々の記憶から忘れ去られたが、彼は初めて神に挑んだ偉大な愚者である。
また唯一、光となることなく、永遠を与えられ、苦悩を彷徨う戒めの存在となったものでもある。
彼は常しえの命を与える稲妻に貫かれたそのとき、全てが記された永遠の物語を見た。
希望と光に満ち溢れた黄金の物語を。
同時に、永遠を想う希望と光の意味を知り、果てなき命の辛苦を味わうことで孤独の闇に落ちていった。
そして、暗く深い独りのなかで、希望と光を見、永遠の命の言葉を残す。
その黙示的言葉を人は畏れ、彼を全てを知る賢者と称えた。
最初のコメントを投稿しよう!