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蹴り飛ばした唐紙は座っていた紫鬼達の頭上を飛んでいき、開いていた隣の部屋へ滑り込んでいく。
素[モト]より気配に気付いていた紫鬼は杯を片手に嗤い、夜魅はもういらないという白狼に馬乗りになって酒を飲ませていた。
「お、ちついて、鬼灯っ!」
顔を赤らめた草芽が焦ったように俺の前へと躍り出る。
その足取りは、"躍り"とはいえないほど覚束なかったが。
「っ…、どけ…!
俺が斬りたいのは…其処で笑いながら酒飲んでる馬鹿共だっ!」
草芽を傷付ける気などないので、ふらふらとしている身体に負担を掛けないよう、なるべく穏やかに背の方へと押しやる。
何の抵抗もない辺り、もう随分と飲んでいるらしい。
だが、後は唐紙を倒された上に飛ばされ頭を押さえる皐月がどうにかするだろう。
「馬鹿とは失礼な物言いだ……、おい、顔色が悪い…どうした」
嘲るような笑みを浮かべていた紫鬼は、俺の異変に気付いたのか立ち上がって此方に歩いてくる。
夜魅と白狼も居住まいを正しながら俺の方を見てきた。
「あら、本当だね…。憔悴してるじゃないか」
「主…大丈夫、か?」
「・・・そう思うなら、今すぐ刀に戻れ…」
脱力して畳に腰を下ろす。
その横で紫鬼の衣擦れの音がした。
「寝ていたから安心したが…、すまなかった。
だが、封印の代償はどうする?今、お前の血を使うと危ない」
「封印した後なら別にどうでもいいがな…。
まぁ…顔色が悪いというなら、雪の、せいでまともに朝日を浴びたからも…あるだろうから、それほど、酷くもな、い」
小さく、ゆっくりと息を継ぎながら話すと、身体が僅かに楽になる。
(しかし…封印するにしても、ここに黒刀と白刀がないと言うことは探しに行かねばならない、と言うことか…)
すると夜魅が少し考える素振りを見せ、俺に尋ねてきた。
「雪は見たいけど、雪焼けするのは嫌だから日が落ちたらでましょうよ。
それまで飲むってのはどう?
休むのもいいと思うけど…、ほらちょうど草芽って坊やも人間に連れられて閨に行ったから。
ささ、選んでくれるかい?」
「…それが…いい。選んで…主」
「ふ、む…」
俺は、暫く考え…
夜魅達と飲む→P.4
草芽を見に行く→P.8
封印する為に黒刀等を探しに行く→P.12
自棄で稽古する→P.16
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