プロローグ

3/4
255人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
家を出る。 現在、8時21分。なんとかなるかな~? って感じの時間帯だ。 自転車を全力でこぎながら、ひたすら学校を目指した。 バイクくらいスピード出てるんじゃないか? と自分でも、出している速度に驚いている。 信号は基本的に無視だ。 行けるなら赤でもゴー。 遅刻寸前の俺のモットーが、赤でも進む、黄色なら胸張って進め。って感じだ。 本気で自転車を進ませた結果、学校の正門を通ったのが8時28分。 ギリギリセーフだ。 自転車を駐輪場に置き、朝からの予想外な運動によって垂れてくる汗を、右手で拭う。 「まぁ、俺ほどの人間にもなれば、これくらい朝飯前なんだよ」 朝飯食ってないけどな……。 なんてことを呟いていると、正門の方から俺と同じように自転車を進ませる女生徒が見えた。 あいつは───。 ジーッとその女生徒を見ていると、徐々に近づいてくるわけで、ブレーキはしてるんだろうな…… でも 「ちょ、止まれやァァァ!!」 止まっていないんだよ、自転車がさ。 結果、俺は猪のように突進してくる自転車と正面衝突するわけで。 「ゴフッ……」 「キャッ!?」 何が『キャッ!?』だよ。 まず、謝りやがれ。 とか思ってると、その女生徒は謝るとか以前に、こちらを向きさえせずに自転車を起こす。 そのまま、駐輪場に自転車を置き、校舎の中に入っていこうとしやがった。 「おい、ちょっと待てよ!」 俺がソイツの肩を掴み、こっちを向かせる。 が、肩をブンっと動かし俺の手を払う。 「触らないでよ、バカ」 コノヤロォォォォ。 そうさ、コイツが…… この、常識知らずのウザったい女こそが、俺の幼なじみであり、しかし、それ以上に ─────犬猿の仲。 の関係を持つ、犬川春菜だ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!